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2011年4月号

vol. 049

日本人のソーシャル・キャピタル

~世界の多くの民族の中で、古来、日本人だけが持つ固有の社会性が注目されている~

3.11 日本はこれまで経験したことのない大地震に見舞われる。
日本は果たしてこの過酷な試練を乗り越えられるのだろうか。
そこには日本人だけが持つ独特の社会性が大きな役割を果たすことになる。

これだけの大惨事に見舞われたにもかかわらず、
日本人は冷静さを保ち、利己的にならず、秩序の中で行動する。
なぜ日本人は大声で泣き叫ばないのか?
なぜ被災地で暴力沙汰や略奪行為が起きないのか?

多くの外国メディアが、津波に押し流された街の映像と共に、
この惨状の中でも、
黙々と痛みに耐える日本人の映像を、
驚嘆の目をもって伝えている。

だが、我々日本人にとっては、それはそれほど不思議ではない。
避難所でインタビューを受けた被災者が、
決して取り乱したりしないのは、
自分よりもっと悲しい境遇にある人達への配慮があるからだ。
それは日本人の生活習慣のようなもので、
日本人は皆、そういった観念を持ち合わせているのだ。

だがこの過酷な状況からの復興には、
この当たり前のような日本人だけが持つ社会性が、
極めて大きな役割を果たすはずだ。

国の復興資金はどれだけか!
復興物資がどれだけ準備できているか!
などといった物理的ファクターも復興には確かに重要だ。
だが、国民一人一人がどれだけ忍耐強いか!
というファクターの方が、
どんな物理的ファクターよりも重要なのである。

「ソーシャル・キャピタル」という言葉をご存知だろうか。

直訳すれば「社会資本」となるのだが、
それは施設やインフラといった物理的な社会資本ではない。

簡単に言えば「集団が持つ社会性の力」という概念だ。
例えば「日本人は我慢強い」という集団個性がそれだ。
なかなか数値では表せない。
目には見えないからだ。
しかしそれを「資本」の一つと認めた考え方である。

企業の体力を表す貸借対照表には、
企業経営の材料となる「資本」が掲載されている。
「現金をどれくらい持っているか」
「工場設備をいくつ持っているか」などなどだ。

だが果たして企業の「物理的な資本」だけで、
企業価値を正しく表現できているかは、はなはだ疑問である。
もしかして、
「元気いっぱいの会社だ」や「逆境に強い会社だ」という「個性」を
貸借対照表に載せることができたなら、
より実態に近い企業価値を言い表すことが
できるのではないだろうか。
なぜなら、
そういったファクターは、
事業の成否を決める、最も重要なファクターになるからだ。

中国に抜かれたとは言え、
日本が長くGDP世界第2位をキープしてきたことは、
単に「勤勉な国民性」だけでは説明できないだろう。

日本人は、
今回の大地震のような自然災害の境遇下にあっても、
個人の利益より、
当たり前のように組織の利益を優先する人種だ。
日本人は、感情をあらわにすることを抑制し、
組織のバランスを崩さぬように行動することができる。

世界が認める、
恐ろしいほどの「日本の強さ」は
この日本人の「ソーシャル・キャピタル」にあるといってもいい。

日本の多くの経営者は、
この日本人に元々備わった「ソーシャル・キャピタル」を資本とし、
日々の事業運営を成り立たせている。
これは、
すべての日本企業の経営者に配られた
「特典」と言って良いだろう。
当然、我が社も享受している。

そもそも「ソーシャル・キャピタル」という単語が
なぜ生まれたのか?
それは、物理的なファクターではない、
集団が持つ社会性といったファクターで
「企業力」が大きく左右する、
という考えが実証されたからだ。
無論、実証したのは日本であり、世界がそれを見習い始めた。

顕著な例は台湾や韓国だ。
台湾も韓国も「ソーシャル・キャピタル」という概念に気付き、
滅私奉公の精神を企業活動に取り入れ始めてから、
著しいい経済成長を上げ始めている。

だが、この社会性の、国民への根付きはそんなに簡単ではない。
日本人の持つ「ソーシャル・キャピタル」は、
日本人が数千年の時をかけて作り上げてきた
「DNA」そのものであり、
この「DNA」は、
企業経営の資本になるどころか、
こういった史上空前の大惨事の前にでも
その真価を発揮するのである。

日本人の「ソーシャル・キャピタル」。
それは日本人そのものなのかもしれない。

今回の大地震。
そして原発事故。
日本人はそれでもまた、この試練を超えていくはずだ。

がんばれ!ニッポン!

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