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2012年6月号

vol. 063

売り切れは儲け損なった瞬間である

~苦労もせずに、飛ぶようにモノが売れる時、それは儲け損ねた瞬間なのだ~

新築マンションの建設現場に「完売御礼」という縦幕が吊るされている。
さぞや営業はホクホクだろうと想像するが、実はそうではない。
その縦幕は「商売に失敗しました」を世間に公言するようなモンだ。

理想を言うと、
マンションは竣工前に3割が売れ、竣工してから1ヶ月かけて6割が売れ、
残り1割を、ヒーヒー言いながら、3ヵ月後に、ようやく売り切る。
これがベストである。

建設中にすべての物件が売れてしまうマンションなど、
単に「価格設定」を間違えただけの話だ。
販売価格を、あまりにも安く設定し、
建設中にも関わらず、売り切れてしまったのである。
儲け損ねた訳だ。

大福まんじゅうに例えてみよう。
新作の「大福」を売り出した。
原価60円のこの大福を、300円で売ったら10コしか売れなかった。
残りの90コは捨てなければならなかった。

利益は(300円-60円)×10コで2,400円。
だが廃棄した大福のコストが5,400円だから、差し引き3,000円のマイナス。
大損だ。

そこで今度は、すべて売り切るために、
超格安の100円で売ってみた。
そうすると今度は、午前中で100コすべてが売り切れた。
利益は(100円-60円)×100コで4,000円である。
ロスもないから、儲かったように見える。

だが午後からは売るものがなくなった。
これは大きな営業の機会ロスである。
利益もたった4,000円じゃテナント料さえ払えない。
100円は安過ぎたのである。

理想は、営業時間の終了ピッタリに、
ちょうど売り切れる「適正な値段」を付けたいのだが、これが難しい。
少しでも早く売り切れたり、
品物を多く余らせたりすることなく、
作る量と、売る値段の適正を決めることが、商売のミソなのだ。

ちなみに
「ナマモノは売れ残りが25%以内なら合格」と言われているが、
最近の小売業は、
25%しか残っていない売り場は、どうしても貧相に見えるため、
わざと山積みのまま、閉店時間を向かえることもあるらしい。

いずれにせよ「売り切れてはイカン」ということだ。
最後の最後、売り残る手前で、ヒーヒー言いながら頑張って、
そして最後の最後に、少しだけ売れ残るぐらいが、
一番多くの「利益」を含んだ「適正な値段」となるのだ。

これとよく似た考えがあるのが、
「仕事をこなす適正人員数の求め方」と言われている。

ある部署の、1ヶ月の仕事量が100だとし、
1人が1ヶ月でこなせる仕事量を15だとしたら、
仕事をこなす適正の人員数は何人になるだろうか?
ただし、極限までコストを抑えるため、残業をゼロにしたい。

答えは7人ではない。6人が正解だ。

ん?おかしいではないか。
6人なら、15×6人で90しか消化できない。
となれば、残りの10を残業しなければならないはずだが、
実はそうはならないのだ。

人は「もうちょっとで出来上がる状態まで来ると、
制約された条件下で、それを何とか収めようと頑張る」らしい。
もう少しで出来上げる状態とは、
おおよそ90%だと言われている。

つまり、90%まで仕上げて、そこで時間切れなら、
人は、それを何とか時間内に100%になるよう、頑張っちゃうのだ。
通常の能力に、少し背伸びを加えてくれるのだ。

だがこれがもし、80%まで仕上げて、そこで時間切れなら、
「これはムリ。もう一人増やしてもらわないと出来ません」
と言い出すそうだ。

だから6人でやり切れるのである。
要するに「ちょっと背伸び」を計算しておくのがコツらしい。
最後にヒーヒー言わせるのだ。

さて実践。
もし皆さんが「プロジェクトの責任者」ならば、
この法則を使って「適正な人員数」を求めて欲しい。
もし皆さんが「商品企画の責任者」ならば、
この法則を使って「新商品の値段」を決めて欲しい。

適正な人員数とは、
最後の最後に、ヒーヒー頑張らないと収まり切らない人員数であり、
適正な値段とは、
最後の最後に、ヒーヒー頑張らないと売れ残る大福の値段である。

ヒーヒー言う前に、マンションがすべて売り切れていたら、
それは儲け損なった瞬間なのだ。
そう。売り切れを喜んでいる場合ではない。

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