従業員100名以下の中小企業向けIT業務のアウトソーシング!

ご相談・ご質問など、何でもお気軽にお問合せください

  • 東京 03-6421-6251
  • 大阪 06-6221-0620

MENU

独り言ブログ あんな事こんな事を深夜のオフィスから発信中!

2012年7月号

vol. 064

空席の価格(1)-やる気を全国から掻き集めろ

~規定の枠にはまらないという理由で捨てられた「やる気」を全国から掻き集める~

1995年、私はベンチャービジネスを立ち上げることになった。
「空席の価格」というタイトルでまとめられた、その新規事業の提言を、
今月から4回シリーズで紹介する。今回はその1回目である。

私は20年前、サラリーマンをしている時に、
ベンチャービジネスを興すキッカケとなる、ある「ヒント」に、
偶然、出会うことになった。

その「ヒント」は、20年後の今も、
我が社の「コアコンピタンス」となり、脈々と生き継がれている。
その、我が社の発祥の源流となった、
他愛もない、ある小さな「2つの事件」から書き始めたい。

私には一人娘がいる。
今はもう24歳にもなるが、その娘、ナント2ヶ月の早産で生まれてきた。
正常には育たないかも、と我々夫婦は覚悟し、
妻は娘に寄り添うため、産休中の仕事を泣く泣く辞めることになった。

だが娘は幸いにも健康に育ち、
やがて娘が幼稚園に入る時、1つ目の事件が起こった。

妻はその当時、もう一度、働きに出ようとしていた。
だが就職は一向に決まらない。
よくよく事情を聞いてみると、
朝10時から、昼の3時で終わる仕事を探していた。

ある訳がない。
パートなんかではない。れっきとした就職希望である。
「10時~3時じゃどこも雇ってくれない」と妻を諌めたが聞き入れない。
子供が弱く生まれたので、
朝、娘が幼稚園に行くのを見届け、帰ってくるのを迎えてあげたい。
その一心からだった。

仕方がない。
一緒に10時~3時の就職先を探すことにした。
そして幾日か、私も仕事を休み、妻の面接に付き添ったのだが、
ハンを押すように、同じ理由で断られた。
「10時~3時」がネックなのだ。
人事担当者のセリフは決まって「規則ですから」だった。

だが、私も最初は「そりゃそうだろう」と納得していたが、
行く先、行く先の、
ハンを押したような同じセリフにだんだん腹が立ってきた。

とうとうある会社で、
「いや、待って下さい。確かに就業規則には合わないでしょう。
でも給料なんか3分の1で構わない、と本人は言ってるんです。
規則は分かりますが、そこは柔軟に考えてもらえませんか!」
食い下がった。
だが頑強に「規則ですから」と言われ、もう我慢できなくなった。

「あのねぇ。企業は営利を追求する団体ですよ。
だったら就業時間が半分でも、給与が3分の1で済むんなら、
これは会社にとっても利益じゃないですか!」
ガンガンに詰め寄った。
だがそれでも「会社の規則」を繰り返され、とうとうブチ切れた。

もういい。
「会社にとって得だと思うなら上司に掛け合え!」と捨てゼリフして、
私は席を蹴った。

サラリーマンとはこんなモンだ。
規則と戦い、波風を起してまで、人財を掘り出そうなどとは考えないのだ。
ガッカリだ。
当時の私は30歳の前半。
世の中の「事なかれ主義」に正義を振りかざす生意気な若造だった。

私は結局、妻に就職をあきらめさせた。
「こんなくだらん会社に勤めることはない」と言い放ち、
「世の中が9時-5時ならば、オレが10時-3時の会社を作ったる」
とムチャなことを言い出した。

そしてとうとう、
妻を社長にした「10時-3時」の会社を作ってしまったのである。
仕事はいくらでも拾ってこれた。
当時はまだバブルの余波もあり、何でもやれる若さもあった。

だが、こんなマンガのようなストーリーも、
これだけでハッピーエンドなら、何の事件にもならなかったのだが、
ある日、妻の忙しくも、活き活きと働く姿を見ていたら、
フッと頭を何かがよぎった。

待てよ…。
妻と同じ思いをしている女性って、妻だけじゃないよな…?
妻と同じ思いをしている女性って、日本中にいったい何人いるんだ?

そう思い始めると、手がピタリと止まった。
もしも、
妻と同じ境遇の人間を集めて会社を作ったら、いったいどうなるんだろうと。

やる気はある。
能力もある。
給料は少なくていい。
ただし就業時間は10時-3時だ。

9時-5時では働けない。
そんな、社会の既成の枠組みから外れて捨てられた、
やる気をくすぶらせてる女性達を、
10時-3時という条件で掻き集めたら、
いったいどんなコストパフォーマンスを発揮するだろう。
全身に鳥肌が立った。

私の妄想は日に日に大きくなっていく。
「やる気」を全国から掻き集めたい。
そう本気で考え始めた。
もう止まらなかった。

当時、インターネットはまだ出現していなかったが、
パソコン通信が流行り始めていた。
これを使って、全国の「くすぶる女性達」に声をかければ、
数万にもおよぶ「やる気軍団」が産声を上げるのだ。
私は根拠のない確信を得ていた。

<次号に続く>

一覧へ戻る
 社長 谷洋の独り言ブログ 日々是好日