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2013年2月号

vol. 071

ベテラン社員は水のありかを知っている

~ベテラン社員とは成長を止めた社員である。そんな社員など必要なのだろうか?~

長く勤め、能力アップを自然増加だけに頼り、
自らの成長を止めてしまった社員のことを「ベテラン社員」と言う。
はたして企業にそんな「ベテラン社員」など必要なのだろうか?

若い頃はよく勉強もした。
一日でも早く仕事を覚えるため、休む間も惜しんで勉強してきた。
みるみる能力はアップし、
やがて給料に見合う仕事をこなし始める。
これが能力アップの「加速度」だ。

だがやがて、目の前の仕事をこなせる能力を備えたら、
向上心は失せ、日々に埋没し、要領を得て、勉強しなくなる。
努力せずとも、日々の仕事はこなせていくのだ。
ただ、毎日、毎日、経験だけが積み上がっていく。
能力には「体が覚えた経験」だけが加算されていく。
これを能力アップの「自然増加」と言う。

ベテラン社員はいつしか「変化」を望まなくなる。
日々の繰り返しを「是」とし、抗わないのだ。
日常に何の「疑問」も抱かなくなる。
同じような「経験」だけをコンコンと積んでいくだけだ。

私は常々こう言ってきた。
「企業人はベテラン社員などと言われたら終わりだ」と。
こんな厳しい世の中に、
成長を止めたヤツに「身を置く場所」などありはしない。
100%そう思っていた。

あなたの周りにもワンサカいるはずだ。
20年間、同じ仕事をしているヤツは皆、ベテラン社員である。
私はそんな「ベテラン社員」をバカにした。
毛嫌いもした。
だが、私の価値観を転覆させる事件が起こるのである。
ベテラン社員が「窮地」を救っていく場面に出くわすのだ。

ユーザークレームを受け付けるコールセンターの改革を引き受けた。
長年勤めた「正社員の女性チーム」を解体し、
伸縮自在で、人件費の安い「派遣の女性チーム」を組織した。
経験豊かな「正社員チーム」の作ったマニュアルは完璧だ。
誰も「派遣チーム」に不安など抱いてはいなかった。

だが新しい「派遣チーム」は大炎上となった。
いつまで経っても、クレームが沈静化しないのだ。
火は静まるどころか、あっちこちで次々に火の手を上げていく。
マニュアルを凝視するがどこにも落ち度はない。
「派遣チーム」は必死に取り組んでいる。
理由が分からない。
ついに極まった。

解体した「正社員の女性チーム」を再結成することとなった。
すると、ピタリとクレームが止んだ。
ピタリである。
やはりマニュアル通りに女性達は動いている。
なぜだ?
理由は分からなかった。

実は、こういった事例は枚挙にいとまがない。
実に多くの同様のシーンを見てきた。
そして、それらの多くのシーンに共通していたのは、
「なぜベテラン連中がその窮地を救えたかの理由が分からない」
ということなのだ。
ベテラン社員は「いつも通りです」と言うだけだ。

そう。驚くべきことに、
ベテラン社員は「非日常」を「日常」に化学変化させる能力を
持っているのである。
これは発見だった。
「日常」とは「平穏な状態」と言い換えてもいいだろう。

ベテラン社員は、
どうやら長く生き永らえる「術」を知らず知らずに体得しているのだ。
進化論が、種を残すため、自らの身体を、無意識の下で、
長い長い歳月をかけて「環境順応」させることだとすれば、
なんと、なんと、
ベテラン社員は「進化」を手にしていたのである。

私は「若い人しかいない会社は潰れる」と信じ始めた。
生き永らえる「術」を持たない会社は、
必ず出くわす「窮地」に耐え切れず、最後は潰れる。
そう思うようになった。
そうなのだ。
ベテラン社員は、どうやら「水」のありかを知っているのだ。

「加速度」をふんだんに持つ若い社員を100名。
そしてそこに「ベテラン社員」を数名混ぜておく。
これで「潰れない会社」が出来上がる。

ただし、ベテラン社員は一朝には育たない。
単に歳を食ってる社員が「ベテラン社員」ではない。
ベテラン社員の養成には、
同じ場所で、同じ仕事に、数年をかけなければならないからだ。
これだけが悩ましい。

さて、もしあなたが今、
長く存続する、たおやかでタフな組織を作るなら、
「ベテラン社員」を少量だけ混ぜてみて欲しい。
「ベテラン社員」を全員、放り出してはなりません。
だって、信じられないことだが、
「ベテラン社員」は、水のありかを知っているのだ。

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 社長 谷洋の独り言ブログ 日々是好日