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2015年1月号

vol. 094

プロデューサーと運動会とお弁当

~この世で一番面白い職業は?と聞かれたら迷わずプロデューサーと答えるだろう~

無から有を作り出す仕事が「プロデューサー」という職業である。
この職業、何となくイメージが浮かびにくいかもしれないが、
要は「お祭りの実行委員長」だと思えば分かりやすい。

私はプロデューサーという職業が昔から好きだった。
性格的に向いている気もするし、
お山の大将的なトコもあり、大勢で何かの目標に向かうのが大好きだからだ。

10年ほど前、ブロードウェイで「オペラ座の怪人」というミュージカルを観た。
無論、その内容に大いに感動し、
アメリカのエンタテイメントの質の高さに驚きもしたが、
何よりも「これを担当したプロデューサーは誰なんだ」と思いを馳せた。

ミュージカルの「オペラ座の怪人」は一冊の古い本から始まる。
「オペラ座の地下に精霊が棲む」というフランスの古い小説があり、
それを読んだある人が「よし。これをエンタテイメントに仕上げてやろう」
と、思い立った瞬間、
プロデュースという仕事が始まるワケである。

まずこれを、ミュージカル仕立てにするため、スポンサーを探さねばならない。
どこで公演するかを考え、いくつかの劇場に交渉もするだろう。
役者を揃えるため、多くの劇団との折衝も始まる。
採算を考え、どれくらい観客が入るのか、観劇料をいくらにするか、
もし失敗したら?どれくらいの利益を見込む?など、事業計画を練り、
広告は?著作権は?監督は?演出家は?グラミー賞を狙うには?
そしてチケットのモギリの係から、パンフレットの印刷会社まで、
プロデューサーは、たった一冊の、古びた本を読み終えた瞬間から、
無から有への「工程表」を編み上げていく。
この作業が、面白くないはずがないではないか。

日本で「プロデューサー」という職業を有名にした先鋒は、
やはりあの「AKB48」を創った「秋元康」だろう。
「モーニング娘」を世に出した「つんく」なども有名だ。
芸能界や広告業界には馴染みのある職業なのだろう。

今や芸能界は、カワイくて歌の上手な若手を発掘する手もあるが、
「アイドルは作るモノ」という発想なのである。
それは、ブロードウェイのミュージカルを作る醍醐味と同じ感覚なのだ。
「育てる」や「探す」のではなく「作る」なのだ。

私自身、仕事の場面でも、この「プロデュース」という役割が大好きで、
とにかく「新しいビジネス」を企画したがる性向があったようだ。

アイデアが閃くと、人を呼んでは熱弁し、賛同者を求め、組織を作り、
仕組みを作り、サービスメニューを作り、ネーミングし、
アジトを作り、事業計画を練り、プロモーションをヒネリ出す。
だが、私の場合、ことごとくの失敗の連続だった気がする。

もし今、貴兄が自らビジネスを興すなら、どうだろう。
この「プロデューサー」というオモシロ過ぎる職業をを試みては。
具体的に例をあげてみよう。

もしあなたが、親がやってた「小さな食堂」を継いだとしよう。
そこを瀟洒なイタリアンレストランに変えてしまうのも楽しそうだが、
事業家になりたいあなたは、自分自身で店を切り盛りするのではなく、
プロデューサーになることを考えてみて欲しい。
でっかい装置を動かして、ビジネスを産み育てるのである。

そしてある日「外販をしよう」と決めたなら、
お昼どき、店の軒先で、ワゴンのお弁当を売ったとしてもたかが知れている。
ここは少しヒネって、ビジネスのダイナミズムを考えたい。

「弁当を売りたければ、運動会を催せ」と言った人がいた。
そう。これこそが、プロデューサーの発想なのだ。

あなたは、まず町内会に働きかけ、町の大運動会を企画する。
道具と場所は小学校から無償で借りる算段をつけ、
賞品は、町民からの寄付でまかなおう。
実行委員には、町のお年寄りとPTA、そして青年団に頭を下げて頼み込む。
お金は極力かけないが、労力と熱意は大いにかけよう。
あなたは、どんどん運動会のパーツを揃える「プロデューサー」となっていく。

ただし、運動会のお昼ゴハンだけは他人には頼まない。
昼食は、あなたの食堂の「お弁当」が必ず組み込まれているという仕組みだ。
参加者は、大人と子供で総勢200人。
お弁当を、一発で200個、売り捌くのである。

運動会の次は、老人会の花見だ。夏の林間学校も企画しよう。
すべてそこで供される「お弁当」はあなたが受け持つのだ。
あなたの最終目的は「お弁当を売ること」だ。
だから、少し遠回りに思えるかもしれないが、
あなたは、お弁当が必要になるイベントを企画するところから始めるのだ。
これがプロデュースだ。

父親から、地方都市の小さな衣料店を引き継いだ柳井正氏が、
それを「世界のユニクロ」に育てたのも柳井氏のプロデュース力だ。
国文学専門の硬い印象しかなかった「角川書店」を、
一大エンタテイメント企業に変えた角川春樹も名プロデューサーだ。
プロデューサーとは、売るための舞台装置ごとを作ってしまう職業なのだ。
まさに「祭りの実行委員長」である。

モノが売れない時代に突入して久しい。
店の中で客を待つスタイルでは、もうやっていけないのかもしれない。
資金さえあれば「お弁当チェーン」でも立ち上げるのも一策だろうが、
もし手元に、小さな資金しかないのであれば、
まずは「小さな運動会」から催してみてはどうだろう。

弁当を売りたければ、運動会を催せ。
これが至極の職業、プロデューサーの発想だ。
これが面白くないはずがない。

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 社長 谷洋の独り言ブログ 日々是好日