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2015年10月号

vol. 103

スキームネーミングのススメ

~漠然とした考え方や仕組みも、ひとたびネーミングをすればその効用は倍増する~

製品や商品にネーミングをするなら何の不思議もない。
だが、私が今回、ぜひともお薦めしたいのは「ビジネススキームネーミング」である。
「何だそれ?」と思ったら、ぜひこのブログを読んでみて欲しい。

これはマーケティング分野で定義されている「ネーミング」とは趣を異にする。
マーケティングで言う「ネーミング」は、製品や商品に名前をつけることによって、
それらが、より市場への感性の強調が促されるもので、
好感度を上げ、商品をイメージしやすくし、通称を作り、愛着を作る効果がある。
企業はネーミングに相当の力を入れ、ネーミングを専業とする会社まである。

この「市場」で得られるネーミング効果を「会社の中」にのみ求めるのが、
今回、私がお薦めする「ビジネススキームネーミング」の正体である。
この「ビジネススキームネーミング」については、それが書かれた本など見たこともなく、
恐らく、私が勝手に大騒ぎしている概念なのかもしれない。

とにかく、説明よりまずは実例をご紹介しよう。

営業にめっぽう力を注ぐベンチャー企業があった。
ガンガンに突撃営業を得意にする、ややブラックな会社かもしれない。
そこの豪腕社長に、若いマネージャーが営業報告をしていたときだ。
そこで私は、ビジネスシーンでは聞き慣れない言葉を耳にした。
社長が「よし。そこは『二度塗り』でいこう」と指示を出していた。
私にはその言葉の意味は不明だったが、その若いマネージャーは心得顔だった。

聞けば、一度、飛び込みで断られた顧客に、数日間のインターバルを空け、
再度のアタックをすることを、この会社では『二度塗り』と呼んでいた。
社内だけで通じる「符丁」のようなもので、むろん「ペンキの二度塗り」に通じている。
ペンキは二度塗れば、強度が増すことは誰もが知っている。
この会社の「一度断られた先でも絶対にあきらめない」という不屈の精神を言い表している。

だがもし、この言葉がなかったら、それはそれで会社の基本方針なのだから、
顧客への再アタックも実行はされるのだろうが、このネーミングがあることによって、
より、この再アタックが「営業をする上での掟」であるぐらいの重みを生み出している。
社員たちは、この「二度塗り」という言葉があるだけで、
「一回の営業では絶対にあきらめない」の精神を叩き込まれるのである。
この効用こそが「ビジネススキームネーミング」の真骨頂である。

企業には、その企業だけが持つ、独特の「符丁」が存在したりする。
長いセンテンスを縮めた略語や、複雑な考え方をシンプルに表現した単語、
その会社の哲学めいた概念を上手く比喩した単語などがある。
それを意図的に作ることによって、
その単語がなかったとき以上の効用を生み出そうとするものに他ならない。

私は、この効用を知ってから「ネーミング作家」と化してしまった。
結果、このりんくる社には、社内だけで通じる「ネーミング」がワンサカと生まれてきた。
この「独り言ブログ」に登場するだけでも夥しい。
「ドラキュラのジレンマ」は、いい商品は騙してでも売るべきだという考えを言い表し、
「トンネル4丁目」は、引くに引けないビジネストラブルへの戒めを言い表し、
「羊のセーター工場」は、有限な資源を使ったビジネスは避けよという教えを言い表している。

他にいくつか、印象に残っている「ネーミング」を紹介しよう。

「女性社員の教育」に特化するコンサル会社がある。社長は女性だ。
ある日、そこを訪ねたとき、社長と研修マネージャーの会話が耳に入った。
「どう?歌い出した?」と社長が聞けば、
「はい。踊り始めました」と研修マネージャー。

「歌い出す」とは、研修を受けた生徒達が、やる気を出し始めたという意味で、
「踊り始める」とは、生徒達が、自ら動き始めたことを言い表す言葉だった。
教育に携わる、女性の多い会社ならでの躍動感ある「ネーミング」だと感じ入ってしまった。
その女性社長は、
「私達はすべての生徒が歌い、踊り出すまでやります」と胸を張っていた。

次もユニークなネーミングの一例だ。
ある工場ラインに、大量の人材を派遣する会社が使っていた単語だ。
派遣会社のマネージャーが、現地スタッフに、こうつぶやいていた。
「よし。『タグボート』を来週から始めよう」と。

大量の人員をまとめて派遣する場合、その面接や審査はかなりアバウトになる。
中には、業務に支障を起たす人員なども混っていたりする。
だが、それをゴッソリとまとめて交代させては、甘い審査がバレてしまう。
なので、人員交代は、クライアントに不審を感じさせぬよう、
1人ずつ交代をさせていくのだが、これを『タグボートに乗せる』と称している。
夜陰に紛れ、波音を消し、タグボートを漕ぎ出し、
大型船から1人ずつ、タグボートに乗せて人を入れ替える、という隠語なのだ。
なるほど。「ダグボート」とは、まさに言いえて妙である。

面白いネーミングを挙げればまだまだある。キリがない。

この「ビジネススキームネーミング」なんだが、
私の知る中では、意図してこれらの言葉を創作しているトップは意外に多い。
自分の考えや、自分の経営手法、事業運営の鉄則や、痛い目に遭ったときの戒めなど、
そられを「名詞」にし、漠然とした概念を、分かりやくして社内に定着をさせているのだ。
その単語が社内の「普通名詞」に昇格すれば、これは一種、経営哲学の「結晶化」だ。
社内で使われるこれらのネーミングは、符丁や隠語の役割を超え、
むしろそれは「行動指針」となり「社是」となり「哲学」となっていくようだ。

さて、これを読む諸兄も、ぜひとも「ネーミング作家」となって欲しい。
自分の会社や部課に、ある哲学が浸透して行くことも冥利ではあるが、
組織が統一した「行動指針」を共通価値として認識するという、大きな効果に驚くはずだ。
これまで計ることができなかった、あやふやな達成度合いや水準も、
「歌う」「踊る」といった「メジャメント」に置き換えることもできるのだ。
実に面白い効用ではないか。

最後に余談を一つ。
飲んでヘベレケになって家にたどり着いたとき、奥さんが怒っているかどうか、
まず家の真ん前で電話をし、それからチャイムを鳴らす御仁がいた。
その御仁、それを「タッチ&ゴー」(飛行機の着陸やり直し)と呼んでいた。
怒っていたら公園にでも行って時間を置き、再び「帰宅アタック」に挑むのだそうだ。
なるほど。これは秀作である。

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