命を紡ぐお話
昨年の秋(2025年10月)、このコーナーで
我が家のニジイロクワガタ「にじちゃん」とのお別れについて書かせていただきました。
小さな体で家族を楽しませてくれたにじちゃんが旅立ったあと、
子どもたちはしばらく寂しそうにしていましたが、
生き物との出会いは不思議なもので、数ヶ月後に新たなご縁が訪れました。
今回、我が家にやってきたのはヘラクレス・レイディというカブトムシの幼虫たちです。
しかも3匹。
土の中でゆっくり成長する姿を見守る日々が始まりました。
前回飼育していたにじちゃんはオス1匹だけだったため、繁殖を経験することはありませんでした。
そのため今回は「いつかペアリングにも挑戦してみたい」という思いがあり、オスとメスのペアで育てています。
そして今回、前回とは大きく違う出来事がありました。
それは、幼虫がサナギになる瞬間を見届けることができたことです。
前回は気が付いた時にはすでに成虫になっており、「いつの間に?」という感じでしたが、
今回は蛹室(ようしつ)を作り、少しずつ姿を変えていく過程を観察することができました。
命が形を変えながら成長していく姿には、何度見ても感動させられます。
今は成虫になり、土の中で最後の準備をしているところです。
もうすぐ地上に姿を現してくれるでしょう。
子どもたちも毎日のようにケースをのぞき込み、「まだかな?」「今日かな?」と楽しみにしています。
そんな姿を見ていると、生き物を育てるということは、単に世話をするだけではなく
命の尊さや時間の流れを学ぶ機会なのだと改めて感じます。
生き物に課された使命の一つに、「命を紡ぐこと」があるのではないでしょうか。
もちろん、それは簡単なことではありません。
自然界でも多くの条件が重なって初めて次の命へとつながります。
だからこそ、その営みはとても尊く感じられます。
実は私には4人の息子がいます。
親としては本当にありがたいことであり、とても幸運なことだと思っています。
そして今の私の目標は、この子たちを立派な大人へ育て上げることです。
その先、いつの日か現役を引退したあとに孫たちに囲まれて過ごせたら、これ以上幸せなことはないかもしれません。
もちろん、それは私の願いであって、子どもたちに強制するつもりはありません。
結婚するかどうかも、子どもを持つかどうかも、それぞれの人生です。
最近は結婚を選ばない人も増えていると聞きますし、息子たちも将来どんな道を選ぶかは分かりません。
それでも親としては、「誰か一人くらいは結婚して子どもを授かってくれたら嬉しいな」と思ってしまいます。
これは親のエゴなのかもしれません。
でも、その気持ちの根っこにあるのは、自分の価値観を押し付けたいからではなく、
家族が増えていく喜びや、命が受け継がれていく温かさを知っているからなのだと思います。
だから私は、結果を求めるのではなく、息子たちが将来どんな選択をしても
自分の人生を幸せだと思えるような大人になってくれることを願っています。
その姿を見届けることこそが、今の私に与えられた使命なのかもしれません。
さて、最後に昆虫の豆知識をひとつ。
カブトムシやクワガタの多くは、成虫になった直後にすぐ活動を始めるわけではありません。
土の中で体をしっかり固め、内臓などを成熟させる「後食(こうしょく)前期間」と呼ばれる準備期間を過ごします。
私たちが「まだ出てこないな」と思っていても、実は土の中で立派な成虫になるための最終準備をしているのです。
人も昆虫も、大切な一歩を踏み出す前には準備の時間が必要なのかもしれませんね。
我が家のヘラクレスたちが地上へ出てくる日を、家族みんなで楽しみに待ちたいと思います。





