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2017年07月号

vol. 124

営業一課は7名まで-という法則

~社内にどうやって「競争原理」を埋め込むか。大企業はひたすらそればかりを考えている~

他社との競争はいわゆる「対外試合」である。むろん負けるワケにはいかない。
だがまずは、社内の隣の部署、営業第二課には、死んでも負けたくない。死んでもだ。
これが「営業一課は7名まで」という法則の心理背景である。

先日、とある企業の「営業マン研修」に、講師の一人として参加することがあったのだが、
そこで「ん…?」と、首を傾げたくなるような違和感に出会った。
それは、すべての受講生が、口を揃えて言ったこのセリフだった。
「社内の他の部ともっと連携を深めるべきだ」という言葉である。

この会社、IT関連の多角的な商品を扱う会社だ。それぞれの商材は、それぞれの専門の部署が担当をしている。
営業マンが口を揃えたのは、例えば、ある客にパソコンを販売したA部の営業マンが、そのパソコンを買ってくれた客に、
お隣のB部の商材も紹介できれば、会社ぐるみで売上げがアップし、会社としては、よりハッピーになるはず、という発想だ。
なるほど。間違ってはいない。この会社は多分、この考え方を、すべての営業マンに染み込ませているのだろう。
だが私は、このお友達的、美しき営業思想に、大いなる疑問を呈した。

100歩引いて、もし、もしもこの会社が考えるように、自社商材の多くを客に買ってもらおうとするならば、
極端な話、5つの部署から、それぞれ5人の営業マンが現れて、
それぞれの商材を、5人が別々に提案するのだろうが、それは果たして客にとって有難いことなのだろうか。
だが、私の抱いた違和感は、実はそこではない。
それは「社内の連携を深めることこそが会社にとってのメリットだ」と発想する、その考えの「甘さ」にである。

この会社は、部門間にある「垣根」を取っ払い、風通しの良い職場を作ろうとしている。なるほど。美しい理念だ。
だが私は、その「風通しの良さ」は、プラス3を生み出しても、その一方で、マイナス10を生み出す体質そのものだと思っている。
要は「生ぬるい」のだ。営業同士の「仲良し」など、所詮は「飴玉」にしかならない。

多くの歴史が語るのだが、昔から「仲良し」と「敵意」では、「敵意」の方が生む出すエネルギーはデカいのである。
営業は言わば「奪い合い」という戦争なのだ。ならば「仲良し」よりも「敵意」を導入すべきなのだ。

さて、これを上手く言い表わす言葉に「営業一課は7名まで」と言うのがある。
面白い言葉だと思う。
営業マンが7名までは1つの部署でいいのだが、営業マンの員数が、8名を超えたなら、
これこそ「敵意」を生み出せるチャンスが到来したと思えばいい。
8名を「営業一課」と「営業二課」に分け、その2つの部署に「競争させろ」と言っているのだ。
これこそが、多くの企業が、その組織作りの中に導入を試みる「社内の競争原理」を言い表わした言葉である。

どうだろう。これを読む皆さんも、「あるある」と膝を打つかもしれないが、
大企業と付き合っていると、大企業ほど、横のセクションとの連携が悪いことに、辟易とした経験はないだろうか。
「キミの会社はセキュリティも扱ってるだろう。提案をくれよ」と言っても、いっこうに営業マンは動いてくれない。
「キミがその提案ができないのなら、キミの会社の然るべきセクションの営業を連れてきてくれればいいんだから」と言っても、
それをシラっと聞き流し、いっこうに誰も連れて来ようともしない。

そう。大企業は、図体がデカくなればなるほど、社内に「競争原理」が頑強にはびこっているのだ。
要は、自分の成績にならないような、「自社内の隣の部の紹介」など、「誰がするモンか」と思っているのだ。
だが、こうやって客の不興を買ってでも、大企業は「風通し良さ」より「競争」の方が、はるかに得だと信じているワケだ。
そんな例を見てみよう。

日本の巨大組織である「警察」の優秀さ、これは世界一だろう。犯人の検挙率は世界でも群を抜いている。なぜだろうか。
それは、徹底した「競争原理」が生み出した賜物だと言われている。
仮に神奈川県警であれば、そこの県警トップはこう言っているはずだ。
「いいか!警視庁にだけは絶対に負けるな」と。こういったシーンはTVや小説でも見ることが多い。
「負けるな」ぐらいならまだいい方だ。
自署の管轄内で起きた凶悪犯罪の容疑者を、隣の県警にからみ取られた日にゃ、どれだけ歯噛みをするのだろう。

だが、この警察の縦切り≒隣の県警とのつながりの欠如は、時に大きな「弊害」として社会問題に取り上げられることも多い。
警察だけではない。厚労省と文科省のテリトリー争いは、待機児童対策に決定的な足枷ともなっている。
だがこういった弊害だけを見て、「組織の縦切りはイカン」と結論付けるのは早計だ。
この縦切りが生み出す「競争原理」こそ、その「弊害」をはるかに上回る「利益」を生み出していることを知るべきなのだ。
国が、この縦切り組織を修正しないのは、この「競争原理」が生み出すプラスの要素を認めているからである。

この理屈は、警察や官庁だけではない。ビジネスの世界もまったく同じだ。
「社内の競争原理」を説明するのに、一番ピッタリなのが「生命保険会社」だろう。
社内は、同じ商材を売る部署だらけだ。営業成績を、複数の部署で日々競い合っている。社内競争がそうさせているのだ。
このパターンは、単一商材を扱う大企業に滅法多い。
自動車ディーラ、ハウスメーカー、ビールメーカーなど、連中はまず、社内に「競争相手」を作られているのだ。

一見、「営業一課」と「営業二課」が、同じモノを売っていては効率が悪いように思えるが、
そこは販売エリアを分けてでも、巧みに、同じ土俵で、組み合っているかのように思わせている。
ただ、あまりにも競争が激し過ぎるのも危うく、露骨に敵意を煽っては、「組織戦略」が透けて見えてしまう恐れもある。
社内競争は、ときに、課対抗のリクリエーションなどにも用いられ、競争を楽しませようとする仕掛けも用意されている。
学生時代に、クラス対抗リレーが、死ぬほど盛り上がったのを思い出して欲しい。上手い仕掛けだ。

組織戦略を考える人は、こう言う。
「営業マンという人種は、他社に客を取られて悔しがるよりも、隣の席に座っている同僚に負ける方を悔しがる人種」だと。
さもありなん。この身近なライバルの存在が、枯れることのない狩猟民族の血をドクドクと生み出してくれるのである。
社内の内部競争の仕掛け作りは、ゲームを楽しませる感覚に近いと言う。
大企業ほどこの人間心理を研究し尽くしており、実にこれを上手く使う。だからこそ大企業なのだろう。

さて、中小企業の社労士をしている私の知人で「社長さん、今、営業マンは何人なの?」と口癖のように聞く人がいる。
社長が「今、10名かな…」と答えたら、その人は目を輝かせてこう言うのだ。
「オッケー。じゃあ営業を、一課と二課に分けましょう。それだけで、売上げは20%アップしますよ」と。
なるほど。つまり「営業一課は7名まで」なのだ。

AKBは総選挙をさせて「センター」を決めている。そしてその内部競争が、前田敦子や大島優子を作り上げたのだ。
AKBのライバルは、まずは一旦、他のアイドルグループではないはずだ。
大阪桐蔭の野球部はなぜあんなに強いのか。試合でエラーでもすれば、いくらでも代わりの選手がいるのだろう。
大阪桐蔭のライバルは横浜高校である前に、まずは自軍でのレギュラー争いなのだ。

ビジネスで、社外に「競争相手」がいるのは当たり前。だが、社内に「競争相手」を作るのは、実は簡単ではないと言う。
1つ間違えば、社内の人間関係が破綻をするだろうし、
その縦切りがもたらす「弊害」が、競争原理が生み出す「利益」を上回れば、これは企業にとって本末転倒だ。
それに、営業一課と営業二課を作ったからと言って、スグに相乗的な「有益な競争」が発芽するとは限らない。
今や大手企業の人事部は、組織心理学の「研究部門」と言っても良いのかもしれない。

さあ、もし、これを読まれる貴兄の会社で、ちょうど営業マンが8名を超えているなら、
どうかダマされたと思って、その8名を2つの部署に分けてみて欲しい。ゆっくりと、ゆっくりと競争が始まっていくはずだ。
これはもはや、一種の「自家発電システム」のようなものなのだ。

ちなみに、我が社の営業マンは2名しかいない。
それがまた非常に仲がいい。
どうしようもないな。こりゃ。

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 社長 谷洋の独り言ブログ